代表理事あいさつ
令和3年度 第38回 山﨑賞授賞者へのあいさつ
未来を担う青少年の「科学の芽」を育てることを目的として、昭和58年に山﨑貞一氏によって設立された本振興会は、これまで、自然科学分野の研究への助成事業、研究成果への顕彰事業及び科学教室、講師派遣、研修会支援などの啓発事業の3つの事業を実施してまいりました。今後とも引き続き、設立の精神を忘れずに、また社会の変化を踏まえながら歩んでまいりますので、よろしくお願い申し上げます。
顕彰事業である本年度の第38回山﨑賞には、県下の小学校、中学校及び高等学校から181件の応募をいただきました。選考委員会での厳正な審査の結果、児童・生徒の部60件、教員の部6件を顕彰することとしました。これらの研究や科学教育の実践は、日ごろの地道な努力の積み重ねの上に成果をまとめられ、更に今後の発展が大いに期待されるものでした。受賞された皆様に、心よりお祝い申し上げます。おめでとうございます。
本年度も、新型コロナウイルス感染防止のため、授賞式を中止せざるを得ませんでした。皆さんに直接お会いして、ごあいさつすることができず残念であり、申し訳なく思っています。
さて、皆さんは、一昨年以来続いているこの厳しい状況の下でも、知恵を絞り工夫しながら研究を進めていることと思いますが、研究の時間も場所も制限されている中で、戸惑ったり焦ったりすることもあるのではないでしょうか。
しかし、研究することは必ずしも調査したり実験したりするといった行動を伴う行為だけではないと思います。じっくり考えるということも立派な研究活動だと思います。今の状況は、自らの思いをめぐらせ考えを熟成する時間が持てる期間ととらえることができるのかもしれません。そして、考え続けていくことが、たまたま出会った現象を大きなヒントや新たな発想を促してくれることにもつながるのではないでしょうか。
ワクチンによる予防接種を世に広めた19世紀の偉大な生化学者・細菌学者のパスツールは「偶然は、準備のできていない人を助けない」という言葉を残しています。日ごろから問題意識を持ち考え続けていくことが、一見何でもない現象との偶然の出会いを驚くべき発見に発展させてくれるのだと思います。皆さんには、頭の中にも自分の実験室を持ち続けてほしいと願っています。
結びに、厳しい社会状況の中、児童・生徒の研究を熱心に御指導してくださいました先生・保護者の皆様、日ごろから積極的に自然科学教育に取り組んでおられる学校・先生方、御支援・御協力をいただきました多くの関係者の皆様に、感謝を申し上げます。また、熱心に選考に当たっていただきました飯田選考委員長をはじめ選考委員の先生方にも、衷心より感謝申し上げます。ありがとうございました。
令和4年2月吉日
公益財団法人 山﨑自然科学教育振興会
代表理事 安倍 徹